大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和48(あ)1023 判決

主 文

原判決中「当審における未決勾留日数中一二〇日を原判決の懲役刑に算

入する」との部分を破棄する。

原審における未決勾留日数中九九日を第一審判決の懲役刑に算入する。

検察官のその余の部分に対する本件上告並びに被告人の本件上告を棄却

する。

理 由

検察官の上告趣意について。

記録によれば、被告人は、本件につき起訴前の昭和四七年一月三一日勾留状の発

付執行を受け、それ以来第一審並びに原審を通じて勾留を継続されていたものであ

るが、これよりさき、昭和四六年三月三一日東京地方裁判所において別件の暴力行

為等処罰に関する法律違反、恐喝罪により懲役一〇月の判決言渡しを受け、同判決

が昭和四七年二月五日被告人の控訴取下げにより確定したので、同年二月二六日か

ら右刑の執行を受け、同年一二月二五日にその執行を受け終つたところ、被告人は、

本件第一審判決に対し同年一〇月一二日控訴を申し立て、原審は、これに対し昭和

四八年四月四日、本件控訴を棄却するとともに原審における未決勾留日数中一二〇

日を第一審判決の懲役刑に算入する旨の判決を言い渡したものであることが明らか

である。してみると、原審における未決勾留期間中、九九日を除く、その余の本件

未決勾留は、前示確定刑の執行と重複して執行されたこととなるが、このように刑

の執行と重複した未決勾留日数を本刑である懲役に算入することは、不当に被告人

に利益を与えることとなり、違法であるといわなければならない。それゆえ、原判

決は刑法二一条の適用を誤つた違法があり、かつ、所論引用の判例に違反するから、

所論は右の限度で理由があり、原判決中前記未決勾留日数を算入した部分は破棄を

免れない(最高裁判所昭和二九年(あ)第三八九号同三二年一二月二五日大法廷判

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決・刑集一一巻一四号三三七七頁参照)。

弁護人西田健の上告趣意について。

所論は、憲法三一条、三七条違反をいう点もあるが、その実質は、量刑不当並び

に量刑事情に関する事実誤認、単なる法令違反をいうものであつて、適法な上告理

由にあたらない。

よつて刑訴法四〇五条二号、四一〇条一項本文、四一三条但書により原判決中「

当審における未決勾留日数中一二〇日を原判決の懲役刑に算入する」との部分を破

棄し、刑法二一条に則り原審における未決勾留日数中九九日を第一審判決の懲役刑

に算入し、検察官のその余の部分に対する上告は上告趣意としてなんら主張すると

ころがなく、また、被告人の上告は不適法であるから、刑訴法四一四条、三九六条

により、いずれもこれを棄却すべきものとして主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員一致の意見である。

検察官 臼井滋夫 出席

昭和四九年六月二七日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 大 隅 健 一 郎

裁判官 藤 林 益 三

裁判官 下 田 武 三

裁判官 岸 盛 一

裁判官 岸 上 康 夫

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